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金属結晶材料の強度は,その内部構造(結晶領域と欠陥領域)と密接な関係を示す.欠陥領域としては,0次元的な点欠陥(空孔等),1次元的な線欠陥(転位等),2次元的な面欠陥(粒界等)が考えられる.それほど高温でない場合は,転位の運動が主な変形を担うことになるが,この転位運動に対する障害物が,材料の強度を支配していると考えることができる.このような欠陥構造の相互作用を理解することは,実験・理論的なアプローチでは困難であり,個々の欠陥構造を直接表現できる原子シミュレーションは有効な道具となりうる.現在では,転位と粒界の相互作用や,ナノ結晶特有の欠陥構造生成メカニズム,転位の集団的挙動より形成されると考えられる Grain Suvdivision メカニズム等について研究を行なっている.
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