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羊毛や絹などの天然繊維特有の複雑な構造を人口的に作られた合成繊維で再現することが昔から人々の夢であり,これまでに様々な加工法が考えられてきた.そのなかのひとつに羊毛のような風合いを持たせることを目的とした仮撚法とよばれるものがある.この加工法では合成繊維の原糸に加撚,熱固定,解撚といった工程を施し加工糸を作製する.こうして得られた加工糸は熱固定されているため撚りを解いても完全にはもとの形状には戻らず羊毛のような風合いを持つ.仮撚法の生産性を高めるための手法として,回転体の表面の摩擦力を利用し直接糸に撚りを加える摩擦仮撚法がある.これは高速生産の安定性が高く,毛羽が発生しにくいといった理由から3軸ディスクフリクションが主流となっているが近年ピンスピンドルに近い風合いの良い加工糸ができることと,設計上単純でコストも低いことから2軸ディスクフリクションが使用されるようになってきた.しかし,2軸型での実機データはほとんど公表されていないのが現状である.そこで,本研究では下図に示す2軸ディスクフリクションのモデル機を用いて,糸張力測定,高速度カメラによる糸経路観察などを通して2軸ディスクフリクションの設計資料を得ることを目的としている.
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